日本の農業の現状
日本の農業はよく食糧自給率で表される。
平成に入ってからは50%を下回り、この近年は37%~38%と言う状況にある。
耕作者の平均年齢は、今や60代後半、70歳に迫る状況にあり、農業の高齢化問題、後継者問題、耕作放棄地問題、嫁問題など、過去数十年の中での問題はほぼ解決されていない。
問題の根本となる原因は?
戦後だけでみても、物価上昇に伴い、農業機械や資材費、燃料費、包材費、輸送費、ありとあらゆるものが値上がりしてきた。しかし、生活に直結する食べ物は、ほとんどが値上がりしにくい現状だ。
特に、お米に関していえば平成5年の大凶作の影響から平成7年食糧管理法が撤廃され食糧法へと法改正され、輸入の砦としてきた外米の輸入が始まったころからみれば、お米1㎏あたりの売上は減収している。
その背景で、担い手集約・大規模経営と言う流れで、離農者は増え集落営農や法人化など農業経営の流れはシフトしているが、面積が増える=管理時間の増加と言う問題があり、機械をどれだけ大型化しようとも、雇用をしなければ経営が回らない事業体がほとんどになっている。
その中で、重要なのが所得の問題だ。農業政策の中ではいつも農業所得の向上と掲げられているが、農業所得が向上するための要素が見られない現状にある。
所得向上=ゆとりある給与体制=安定した雇用・安定した生活、ココが成り立っていない事が一番の大きな問題点と言えるだろう。
問題解決のために
農業所得を向上させる為に、一番簡単なことは商品の値上げだ。
しかし、1次産業の農産物は、市場原理に基づいて値決めがされる為、採算が合わない取引がなされることがある。そんな原価に利益を乗せて値決めできない農産物は、収穫してからでなければ現金化できない。
現金化するまでに各所借金をして、現金化するタイミングでは原価割れを起こしているかもしれない。そんな産業にまともな雇用が、安定してできるとは言い切れず、魅力をもって職業として取り組む若者が少なくなるのは当然ともいえるだろう。
ではどうしたら解決できるのか?
収穫前から現金化できて、雇用を安定的にできたら、農地の維持管理も安定して行う事ができ、より良い農産物が生まれる仕組みへと変わる。
収益構造を一部変更できれば、農業経営が変わるのだ。
Farm sharingの考え方
管理する農地の3分の1を、非農家の皆さんに共有農場主として、命名権をもって農業参入してもらう仕組みだ。一口農場主として命名権を買っていただいた人は、自分の農場があると謳っていただき、面積当たりの農産物や、特定のサービスを受ける事ができる。
農家は、収穫前から予約販売のような形で、現金化を行う事ができ、それによって雇用を安定させていく事ができ、強いては農業経営の安定化へと向かう流れを作る事ができる。
農地の3分の1を使い、事業収益の3分の2の収益化を目指していく。
【農地の3分の1を使う理由】
なぜ全農地で行わないのか?
単純に不作であったとしても、一口農場主になってくれたオーナーさんには、確実にリターンを返す為だ。
もし、全面積で取り組み、一口農場主として農業経営を支えてくださった人に、返すものが無いとなれば継続した応援や支援はしにくいだろう。
仮に3分の1で取り組むならば、もしも不作になったとしても、残った3分の2の面積から補填してでもリターンを支払う事ができる。
【事業収益の3分の2の収益化の理由】
一般的に、事業収益に占める人件費の割合が3分の1を超えてくるとその事業は危ないと言われることから、農業経営における必要な人件費を先に算出し、その3倍以上をゴール地点と定める事により、収穫前で人件費と営業費が手元にある状態を作る事で、通年を通した安定経営ができるようになる。
一般企業並みの安定した雇用と、産むためには月々の安定した賃金の支払いが必要であり、福利厚生が必要。
収穫後でしか収益化できない、既存の農業ではどれくらいの利益が出るのかも全く予想が立たない。
収穫前の先の見える現金化をすることによって、より自由度のある農業に挑戦することが可
能となる。
かつて、ユニクロや吉野家といった名だたる大手企業が農業参入したが撤退している。
有料経営する大手企業でも、出来ない難しさがあるのが農業経営だとおもうならば、それよりも小規模な民間が手を出す分野ではないと思うかもしれない。
しかし、Farm sharingは、一個人からでも農業参入できてしまう仕組みなのである。
Farm sharingに投じる非農家のメリット
通常、農業を始める際に必要なもの
- 農地(農地の購入や賃貸借契約など、農業委員会を通じた手続きが必要)
- 農業設備(耕作品目や耕作面積に応じた、農業機械や農業施設が必要)
- 農業人材(知識経験を備えた専任の従事者が必要)
- 農業資材(種、肥料、農薬、土壌改良資材など)
- 燃料費(農業機械を動かす為の燃料など)
- その他(修繕費や包材費、輸送費、保管費なども状況によって必要)
様々な先行投資が必要ですが、Farm sharingオーナーになれば、一口分の命名権の費用で上記の投資は不要となります。
メリットとしては
- 自分の農地として宣伝が可能(弊社は奥能登輪島で農業事業を展開しています!と謳える)
- 面積当たりの農産物がリターン(自社の農産物としてプレゼントも販売展開もできる)
- 保養、研修の場に活用(会社の福利厚生としても運用できる)
- PR・PVの撮影に活用(農業事業部の映像、保養現場の映像としても運用可)
- 管理運営は全て専属の農家と提携することで、少額費用での農業参入が可能
- などなど
かつて、ユニクロは26億円の負債を抱えての撤退と言われており、農業経営がいかに容易ではない事がわかるかと思いますが、そのユニクロですら成功しえなかった農業経営。実はFarm sharingに投じる事によって、既存の提携農家と連携して農業を行う事で、リスクは抑えられた中で農業参入ができてしまうのだ。
Farm sharingがもたらす未来
Farm sharingは、国際線の飛行機と同じ仕組みだ。
全席エコノミークラスにしてしまえば、より多くの人を一気に海外へと運ぶことができる。しかしそれでは運航会社は利益を産めず、赤字となり継続した経営ができない。
ファーストクラスのお客様がその空間とサービスに高いお金を投じてくれるからこそ、エコノミークラスのお客様は、より安く海外へ便乗して移動できる仕組みになっている。
つまり、Farm sharingに投じる一口農場主は、ファーストクラスのお客さまと言える。
ただ単に農産物を買うのではなく、自分が契約する農場で、提携農家によって管理運営をさせた農産物を扱えるだけでなく、福利厚生や宣伝に活用運用できるサービスも踏まえた価値に投じる事によって、日本全国により安価で高品質な農産物が出回る仕組みになるのだ。
3分の1の面積で3分の2の事業収益が立っていたとしたら、そこで雇用が安定している状態で3分の2の面積で自由な農業に挑戦できるとしたら、更に3分の2の面積のこだわった農産物が、農協や市場の安価な市場原理に基づく市場流通で流れ、3分の1の事業収益が取れれば、経営は成り立つ。
もし、日本中でこの仕組みが採用されたとしたら、国土の3分の2で取れる農産物は、市場原理に基づいて安価に日本中に出回る事になる。
そう、どんな所得者層であっても、どこで誰が何を手に取ったとしても、良い農産物か良い食品になっている日本に変わっているはずだ。
淘汰される農家
残念ながら、全ての農家が救われる仕組みとは言えない。
より良いものを常に生み出そうとする農家しか、活用できない仕組みがFarm sharingだ。
もし、Farm sharingオーナーに自分がなってみたらと想像してもらいたい。
去年と同じ。何の努力の姿勢もうかがえない。何が必要で何が不必要でと研究もしない農家に、また来年も投じようと思うだろうか?
農業者は、常に毎年その姿勢と行動を、一口農場主にジャッジされている状態になる。
農業者は、毎年投じてもらうために、去年よりもより良いものを目指して行動し、来年も更に高みを目指す農業をし続けなくては、継続して応援を得る事はできない。
現状、この日本で安定した雇用と安定した生産を行う農業者の割合は少ない。
しかし、Farm sharingによって、一口農場主権を買っていただく事によって、収穫前からの収益化ができる農業経営がなされれば、雇用を安定化させてより良い農産物を栽培する挑戦が可能となる。
収穫してみるまで、生きれるのか生きれないのか分からない農業では、後継者も生まれない。
農業が、一般企業並みの給与と福利厚生と休日を得られる状態であれば、農業が魅力ある職業の一つになり得ると私は考える。
ただし、その魅力ある産業を作るためには、魅力ある農業者が魅力ある農業を展開し、次世代に示していかなければならない。
だからこそ、「昔からこうやっていた」それだけの農業ではいけないのだ。
何もしなくても淘汰されていく時代に、魅力ある産業へと変えるチャンスがここにはあると思う。
Farm sharingでより良い未来を
人は食べた物で、体は作られている。
食べた物が良ければ健康になるし、食べた物が悪ければ不健康になる。
不健康になれば病気になり、薬が必要な体になる。
もし、日本中に出回る色がより良くなるのであれば、普段食べるものが良くなる。より良い食べ物で作られた体から健全な精神が養われ、より良い未来が築けるのではないだろうか?
そして、何よりも未来を創るのは子ども達だ。
学校給食だって、いちいち「自然農の野菜を!」とか「有機栽培を!」などと言う必要がない世の中を作ってしまったらいいんじゃないだろうか?
子どもの食が良くなれば、子どもの未来が良くなる。
子どもの未来が良くなれば、日本の未来が良くなる。
10年先、20年先、30年先に生きる子ども達が、より豊かな暮らしをするために、今を生きる我々大人が目先だけの事に囚われていてはいけない。
Farm sharingの完成形は、日本中の農業者が自由な農業を展開し、こだわりの農産物が出回っているにも関わらず、市場原理にのっとって安価な状態で日本中に流通している状態だ。
安価な農産物が流れたとしても、農業経営が安定している状態を作り出すのがFarm sharingだ。
川原がこの理想にこだわる理由
私には5人の子ども達がいる。
この子たちが将来豊かに暮らすために何が必要なのか?
そう考えると、我が子だけが生き残っていたのでは意味がない。
- パートナーとなる子
- 仕事をする仲間となる子
- 地域を動かす仲間となる子
- 国を興す仲間となる子
今を生きる子ども達が、誰一人として見捨てられることなくより良い状態になる事が、我が子たちがより豊かに暮らせる未来になっていると信じている。
学校教育では格差は埋まらない。世の中の貧富の差もなかなか埋まるものではない。
でも所得に関係なく食べる物が、農産物がより良くなっていたら。その子の未来はより良くなっているはずだ。
もし、70%の子どもを救って30%の子どもはは諦めますといったならば、30%の子ども達は犯罪に手を染めるしかなくなるかもしれない。
どんな子ども達であれ、豊かな食を享受できる日本にすることが、より豊かな日本を作る事に繋がると考える。
Farm sharingで農業参入して、農業を応援してください。
農業は農家がやるものから、農業はみんなでやるものへ。
私のイメージはココにある。
農家だけでは、農業経営ができなくなってきている。農業者の平均年齢が70歳に迫ろうとする中で、そこに未来や希望を感じる事はできない。
だけど、日本中の皆さんが、どこかしらの農業を応援している。どこかの農家と提携して農業参入している状態が作れたら、全国民が農業に関わっている事になる。
全員が自分の農地がある状態で、自分の農場に興味の無い人なんていないはずだ。
常に農業が身近にある状態が作れたら、食糧自給率の問題だって解消する。
補助金無しでも経営できる農業者が続々と誕生する日本になるはずだ。
川原農産はそんな日本の未来を農業から思い描いて行動している。
川原農産がまず、この仕組みを構築し、他の農業者さんに真似してもらおうと考えている。
川原農産はFarm sharingの仕組みは販売しない。良いと思ったら真似ればいい。
日本中の農家が「お前のそのサービス良いな!真似させてもらうわ!」「お前のその栽培方法良いな!参考にさせてもらうわ!」と交流できて切磋琢磨できたら、加速して日本の農業が、日本の食が良くなると思っている。
川原農産と一緒に農業をしよう!Farm sharingしよう!
もし、川原のFarm sharingの構想にご共感いただけたなら、一緒に農業をしよう!
令和6年版のFarm sharingは、能登半島地震の影響から変速的に単年だけではなく、複数年コースも踏まえた3コースで行っている。
お申し込みは、こちらから。
https://ne001.ncas.jp/bni_shop_cart/?shopid=bni-eagle-kawara.ouki
同業者の皆さんで、ご共感を得たなら、是非Farm sharingを導入してほしい。Facebookでグループページを作っているので、参加してもらいそこで交流し、互いに切磋琢磨出来たらうれしい。
https://www.facebook.com/profile.php?id=100083131002261