「ファスティング農業」は、肥料を投下しない事で作物と土壌のファスティングを行うイメージの農業です。
私は、農学を学んでいません。
従いまして、土壌分析だの肥料成分だの事細かな事はよくわかりません。
そんな私が、稲作と果樹の複合経営をしていた家業を継いで、25年余り。沢山の出会いの中でしっくり来た事は、一つの生命体として人間も作物も土壌も体も同じ動きをするという事です。
人間の体を構成しているものは、口から入った食べ物です。
食べ物が良ければ体は健康になりますが、食べた物が悪かった場合は病気になる可能性が生まれます。
これは作物も土壌も、人間の体でも同じことが言えます。
作物は根から吸収したもので出来ていて、吸収したものが悪かった場合は病害虫に侵されやすくなる事が考えられます。
これらは、私が作物や土壌に向き合う時に使う視点です。
単純に、自分の体だったらどういう変化をするはずだから、求める変化の為にはどうすべきか?と言う風に見ます。
【3】万物は安定に向うでもお話しましたが、すべての物は安定する形に変化したり移動したりしていくものだと感じます。
たとえば、人間なり動植物なり生き物が、朽ちるだけのものであるならば、免疫的に防ごうとする力や補修再生する力は必要が無いはずです。
不都合を防ごうとする力、不都合が生じた場合に補修補正したり、元に近いように戻ろうとする力が働く事という事は、本来の望むカタチ=安定に向おうとする行為行動なのではないかと考えます。
この考え方をもって、作物や土壌に向き合っているのが「ファスティング農業」です。
そして、全ては変化していくものだと思いますので、どこかで矛盾も生まれるかもしれません。その時はその矛盾と向き合い、何に原因があるのかを探りまた新たな道を見出していく事になるでしょう。
ファスティング農業は、常にその場その時その環境に応じて変化できるものであり、農法として方法論を固定しないのは、「変化」して当たり前であり違って当たり前を前提として、各々の状況に向き合いながら作っていくものだと私は考えています。
【3】万物は安定に向うでもお話しました「振り子の原理」がここでもまた当てはまります。
苗半作「苗づくりで作柄の半分は決定される」と言う農業界において、ほとんどの人がきいたことのある言葉だと思います。
私は、水稲栽培においても、スタートの段階が悪ければ、その後の立て直しが大変だと感じています。
これは人間においても同じで、幼少期の状態が悪ければその後の立て直しが大変になると思います。まさに子育てと似ているのが農業だと思っています。
そして、育つ環境を整備してやれば、より実りが大きくなる為、農業界においては土づくりだとか、施肥設計が一般的に行われるわけですが、川原農産はここは逆転した動きを取っていきます。
人はそれぞれ、個性があり同じ人間は世の中に存在しません。
それは、同じ学校で同じ教育を受け同じ食事をしていても必ずしも皆が同じようになるとはならないのと同じです。
植物もまた、種一つ一つに個性があり、本来は各々に違うものであり、それは人間の目には分かりにくいものかもしれないが、「違う」が当たり前ではなかろうかという事です。
資本主義経済の中で、生きるために需要に応じようと活動するのは極当たり前な行動です。
少ないスペースで、より多く流通させるために「規格」が生まれ、規格に合わない物は規格外として値打ちが無い扱いを受ける流れが、戦後からの農業であったかなと思います。
野菜や果物などは、形を揃える事は中々大変だろうなと思いますが、お米に関して言うとその辺は比較的楽ではないかと思います。
基本的には粒の大きさで選別していくわけなので、一定の基準となる1.85mmの網やそのワンランク上の1.90mmの網で選別をかけると、それなりの整ったお米が選別できます。
おそらくは、お米もまた一粒一粒に個性があると思われますが、一粒が小さい為その差を感じにくいのであろうと思います。
この命を育む土壌も、そこに根差す作物も、育てたり頂く人間も、いろいろと個性はあるものの、生きる事の法則は、全て同じでありそれを擬人化して考える事で、腑に落としていった農業体系が川原農産の「ファスティング農業」になります。
安定するためには、必要たる成分がバランスよく存在する事だと私は考えています。
成分バランスの乱れは、不安定を招くという事です。
人は食事をすると、血糖値が上がります。低GI食品と言う血糖値が上がりにくい食品も有りますが、加工品を全般にお菓子類などは精製された砂糖などを使用している為、砂糖が入る食品を摂取すれば血糖値は急上昇します。
それは、砂糖が精製されたものであり、分子構造が細かく分解に時間をかけなくても、胃や腸から血液中にすんなりと入り込んでしまうが故に急上昇すると考えられます。
これらと同じように、精製された肥料が田畑に入り込んだ場合、田畑が本来安定する成分量から一気にNPKの成分が跳ね上がる事になります。
土壌分析をして施肥量を調整すればいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、それはそこに栽培する作物を念頭に置いた肥料設計であり、その土壌本体が安定する成分量と決して同じとは言い切れないと考えます。
ここでまた振り子の原理を考えると、急上昇したら急降下する結果、そこで栽培した作物が吸い上げていく事で土地が痩せるという流れが出てくるのではないかと考えます。
川原農産の基本的な栽培に関する視点は、自分の体で起きる変化の予想と、土壌の中で起きる変化の予想をリンクさせて考えるという事です。
ですので、土壌も体も一つの生命体として同じ法則の中で動いていく事がイメージできるという事です。
