移植の田植えで、良く心配されるのは、初期成育やそれを阻害する病害虫などかと思います。
箱剤の使用を持って、当地域ではイネドロオイムシやイネミズゾウムシ、イモチ病などの対策をされる農家さんが多数です。(指導側も移植時に使うよう勧める為)
川原農産においても、イネドロオイムシやイネミズゾウムシの被害は、過去確認されたこともあり、自然素材由来のゼロカウント(農薬の使用カウントとしてはゼロになる殺虫剤)を使用していました。
製品情報に関するページは取扱メーカーのホームページをご覧ください。
私が、使用するか否かの判断材料として、他の農家さんの話を聞いて考えるという事もあります。
例えば、R7年よりゼロカウントの使用を半分やめました。しかし被害はほぼ起きてはいません。
一つの理由としては、過去使用し続けてきたことによる影響が考えられます。
もう一点はBS材(バイオスティミュラント材)の使用によって、省く事が出来るのではと考えたから実験をしました。
このBS材使用においては、複数年試していく必要があると思っており、単年での結果はまだまだ実績に値しないと考えていますので、あくまでも参考程度に思ってください。
他の農家さんや農業改良普及員などの話の中から、植物体が弱っていると病害虫が襲ってきやすいという話を聞いて、初期成育の弱々しい段階を狙われる可能性があると考えました。
令和7年使用したのは、コルテバさんから販売されている、ユートリシャNという空気中の窒素を固定して植物体へ供給してくれると言われる微生物材です。
メーカー推奨の使用方法は、分蘖期の稲に空散で反当たり33gを散布してやると言う物。
空散と言えば、近年は大半の農家さんではドローン散布を意味します。
がしかし、川原農産には、農業用ドローンは有りません。使用する場面が無い為所有していません。
そこで考えました。
苗箱施用はダメなんですか?と。
メーカーでも実証がまだできていない事もあり、推奨はしていないとの事でしたが、本田でのドローン散布よりも、苗箱の段階で施用した方が、確実に無駄が少ないはず。
加えて、メーカー曰く散布後聞いてくるのは1か月~1か月半かかるとの事。
であるならば、早めの苗箱施用で無駄なく散布し、移植後にブーストがかかっている状態を作れた方が良いというのが私の目論見でした。
本田散布の場合、稲と稲の株間にもBS材は落ちます。そして雑草にもかかります。稲の葉だけにかかるという事はありません。かかった雑草もまたブーストがかかっていく事になります。
つまり、ここに無駄があるという事です。
苗箱施用の場合、稲と稲の間が少なく、散布が可能。雑草に散布する事もありません。
そして考えました。
約1か月ほど育苗期間を取る形であれば、移植後まもなくブーストがかかり、葉色が上がっていく事をイメージするのであれば、箱剤が不要になるのでは?と言う視点です。
害虫は、弱々しい葉っぱを好んで食べます。
つまり、元気な葉っぱには虫が付きにくいのであれば、移植後すぐに元気な葉っぱになる状態を作れば、殺虫殺菌剤(箱剤)の使用を減らす事が出来るという事です。
川原農産では、自然農を推奨しているわけではありません。必要とあらば肥料も農薬も使用します。
不必要ならば使用しません。ただそれだけです。
つまりは不要なのに、肥料農薬を使用する現状を変える。不要な状態を作り出す事で資材費と作業工程を減らす事でコストカットしていくという事です。
まず、食べ物を育てる上で一番重要な事は「美味しい」という事だと考えます。
どんなに安心安全で健康に良いと言われても、不味い物を食べ続けるのは苦痛です。
継続していく為にも、食べ物に美味しいは欠かせないと考えています。
美味しいに加えて、安心安全が付帯されていく事で、消費者からすると価値あるものになるであろうという考え方が川原農産の考え方です。
その上で、継続経営できる利益を生み出す事が出来るかどうかが、経営上の判断になります。
単純に「無農薬」と謳えば、安全で消費者は好んでくれるという考え方だけでは、収穫量が減るんだから高く売らなきゃいけないとか、手間暇がかかるから高く売るんだという発想に至ります。
消費者もピンキリです。
農業コンサルがよく、やりがちな事は、「ブランド化して高く売る」です。
全農業者がこの方向に振り切った時、買える消費者はごく一部に限られ、奪い合いが起きる。
競争に負けた物は採算度返しで、安く叩き売るしかないとなれば、結果継続経営はできません。
継続経営していく事が何よりも重要だと思います。
社会から事業が減るという事は、求めてくださる人の需要を満たす事が出来なくなるという事です。
需要を満たしつつ、継続経営していく道が必要です。
ですので川原農産では、自然農は行うつもりはありません。必要あれば使うし必要なければ使わない。どちらがより、経営に有利で且つ美味しく消費者に求め続けていただけるものになるか?と言う視点で農業に取り組んでいます。
話を戻して、BS材使用の実績と肌感覚です。
当初メーカーから言われたのは、移植前日に散布して植えるという事をやってみてくださいでした。
最初の苗はそのようにして取り組みました。
2回目の播種以降では、芽出し機から出してハウスに陳列した後、シートをかけて緑化を待ち、緑化を確認したら散布しました。
葉面面積が小さい為、1株に必要な菌数が行かない可能性をメーカーからは言われましたが、菌であるのであれば、分裂して増殖する可能性はあると考え、敢行しました。
結果です。
弊社では、昨年の復旧率は約65%で、24ha程度の田んぼを水田に返す事が出来ました。
24haの水田において、反6枚の苗箱を平均的な使用枚数とし、約1500枚程度の苗箱に対し、
ユートリシャNを通常2ha分を苗箱施用しました。
メーカー推奨は、10aに対して33gの資材を葉面散布すると言う物ですが、苗箱6枚に対して33gの施用は中々大変ですので、多めに撒いていきました。
移植後の様子ですが、前年までの移植よりも葉色の上りが早くかんじました。その分早めに分げつを始めてくれたようにも感じています。
基本は川原農産の水稲に置いて、肥料散布は行いませんので、移植後は稲が弱々しい状態でスタートして徐々に加速していくようなイメージなのですが、スタートダッシュがかかっている感じがしました。
あくまでも肌感覚です。
ですので、今年ももう一年取り組みます。そして今年は完全に箱剤施用無しで全面積分取り組む予定です。
そして、虫の被害が出るか否か、そこも注視していきたいと思っております。
