ブログ

【8】超低コスト水稲栽培の利点3(密苗)

密苗と言う手法に出会ったのは、10年ちょっと前です。

石川県の米農業における先輩農家、羽咋にあるアグリスターオナガの濱田代表に聞いて、なるほど!と腑に落ちたのでその話を聞いてから密苗による苗箱削減に入りました。

過去にさかのぼります。

私が就農する前に使っていたのは、イセキの4条の歩行田植え機で、1反に対し補植も含め25~27枚と言う苗箱枚数で田植えを行っていました。

就農して2年目にクボタの乗用8条植えの田植え機を導入しました。

私は農学も学んでおらず、生産に関する知識も皆無な状態なので、父母や祖母の言う事を聞きながら作業をしていたのですが、当時1反に対し使っていた苗箱枚数は、歩行用に準じた25枚程度でした。

今から考えると狂気の沙汰と言わざるを得ない坪70株植えの密植栽培です。その上当時は耕作面積も少な目で祖母も元氣だったので、補植して回る状態でした。

そこから、坪60株植え、坪50株植えと植え比べをし、坪45株植でも大差がない状態を確認していきました。

これに伴い、苗箱の使用枚数も、20枚から18枚、そして15枚へと少しずつ減らしていきました。

仮に、当時は物価も今より安いので、苗箱1枚500円と仮定すると

25枚×500円=12,500円
20枚×500円=10,000円
18枚×500円=9,000円
15枚×500円=7,500円

最大と最少の差は5,000円です。

1反=5,000円
1町=50,000円
10町=500,000円

面積が大きくなればなるほど、これだけの価格差が生まれる事になります。

そして次のスペア機として導入した中古のヤンマーの疎植仕様の田植え機で、反12枚まで削減してきたした後に、密苗と言う物に出会います。

苗箱の生産枚数を3分の1にすることで、大幅なコスト削減ができるという情報でした。

濱田代表は、最大で反3.5枚まで減らせると言っていたと思います。

しかしそれに取組めるのは、ヤンマーの密苗仕様の専用田植え機でなくてはできない物だったのと、まだヤンマーとの共同開発中の中でその田植え機が販売される前だったので、ソックリ真似をすることはできません。

そこで、取り組んだのは密苗擬きです。

自社のヤンマーの疎植仕様田植え機で、横送り回数を一番多くして、一番薄取りして坪45株植で取り組んだら何枚で1反を植えられるのかを探りました。

種籾の播種量も、播種機のシャッター部分をすかして漏れ落ちる様に設定して厚播きをし、欠株が起きにくくするようにして望みました。

これにより12枚から9枚まで削減する事が出来ました。

12枚×500円=6,000円
9枚×500円=4,500円

就農直後から見れば、反8,000円の経費削減となります。

さて、ここで現在の物価等に照らし合わせると、1枚当たりの苗の単価はもっと変わってきます。

これから先、物価が下がる事はほぼ見込めないことからも、使用枚数の差は1年1年じわじわと経営に響くものになるという事です。

そして、ヤンマーの密苗仕様の田植え機の販売が決まった時、試算しました。

当時の田植え機は8条乗用で約400万円

密苗にした際、苗箱の使用枚数は5枚くらいになるのではないかと。

1枚700円と増額して仮説を立て、当時耕作面積は20haを超えてきていたので、

9枚×700円×200反=1,260,000円
5枚×700円×200反=700,000円
1,260,000円-700,000円=560,000円

4,000,000円÷560,000円=7.14年

つまり、新品の農機具を購入すれば7年の減価償却をする、その7年で確実に元が取れる計算が出てきたので、導入を決定したのでした。

今は5枚ではなく、6枚に標準を合わせていますが、震災前で33haの面積を耕作しており、復旧前の段階であっても昨年は24haの面積で耕作しているので、つまりは苗箱の差は面積に応じて大きくなりその差額も確実に大きくなるので、より短年での回収が可能となる事は安に想像できます。

密苗における利点は、床土を少し価格の高い軽量培土に切り替えても、使用枚数が少ない為全く負担を感じないという点であったり、作業時間の短縮など見えない労働軽減とコストカットは更に厚みを増す結果となりました。